今月の実家

母が突然この世界からいなくなって一年半。1人残された父の会いに、毎月5日間実家の福岡に通っています。

こんなに父と一緒に過ごすのは,18歳で家を離れてから初めてかもしれません。そして、死に向かって否応無く進む老いの痛みに向き合うのも。

ううむ、でも思えばいつも死は身近にあったのかもしれない。子供の頃からたくさんの動物たちを育てて来た身としては、死にゆく命と共にいるのは、私の人生のサブテーマなのかもしれないななどと思いながら、今回も父と過ごしてきました。

台風10号の爪痕は、庭木に結構なダメージを与えたようで、大銀杏の木の枝が折れて、葉っぱが一部茶色くなっているところも。。。

初日は家の片付けに終始したので、二日目からはずっと外仕事をしていました。

父は元々家事など結構出来て、母の介護もしていたので、水周りなど綺麗だったのだけど、数ヶ月前から行くたびに滑りや汚れが目立つようになり、主に生活している部屋のホコリやゴミ目立つようになってきてそれがかなり切ない。。。。

体がきつい、ご飯が美味しくないとずっといっているけれど、見るからに行くたびに弱って行くのを見るのは本当に辛いです。

でも、頑固に病院も変えず、私の施術も拒否するので、私は一緒にご飯を食べて、おしゃべりして、家事や外回りのことをする事しか出来ない。またそれも切ないです。

台風10号の話に戻ると、今回風が凄かったようで、落ち葉が家の周りや道に山のように積もっているのを、一日かけて掃き掃除。

掃き掃除は竹ぼうきのシュッシュっていう音が好きで、いつまでもやれる作業なので、綺麗になってああスッキリ!

次の日は小雨の合間を縫って草取り。

かなりの広い土地を父は数年前まで、鎌一本で草刈りし、草を抜き、木の剪定もしてきました。道路から入った私道の両側に草が生えて来ているのを見て、「ここは家の入り口だから荒れてるのは良くない」と気に病んでいたので、きっちり舐めるように草を取るのが苦手な私も頑張って1日半かけて抜きました。

この草取り作業、やってると徐々にはまってきて、段々と好きになってきつつあります。

父に「今度見て点数つけといて」と言っておいたら、今朝見に言ったらしく「よう抜いとる、95点だ」と合格点をもらいました。

母も晩年は相撲好きになって、普段は呼吸が苦しくて息も絶え絶えなのに、相撲を見てる時は、ひゃーひゃー言いながら時に口ぎたなく罵りながらも相撲中継を見ていたものでしたが、父と相撲をみるようになってから、はまり始め、いつの間にか相撲女子になってしまいました。

コロナで温泉にもいけない私の今の唯一の趣味は、ボディワークと相撲観戦かもしれないです。。。

そんなに好きじゃなかった力士も、見てるとじわじわと好きになってしまう、、そのじわじわ感が良いのです。

今回も父と相撲を見ながらあーだーこーだ感想を言いあう時間がかなり面白かったし、父も少し元気になる気がします。

いつも東京に戻る日の夜は、なんとなくうまく眠れず、父がいなくなったこの場所に私は果たして帰ってくるのだろうか、、、と思います。

きっと、こんなに情をかけてしまったら、父をなくした喪失感がどっと襲ってくるだろうなあ、、、と思うとそれだけで悲しくなってしまいます。

それでも父が木を植え、畑を耕し、手をかけて愛したこの土地を私もすごく愛しています。

長年GAPを続けてきて学んだことは、良いこととも、嫌なこととも共にいる事でした。

この切なさや悲しみとも共にいること。

この自然の中に身を置くこと、老いた父と静かな時間を過ごすこと、そのささやかな幸せを噛みしめながら、今この瞬間にも、病や痛みや苦しみの中にいる人が、少しでも安らぎの時間を持てるようにと願わずにはいられません。

全ての人がささやかな幸せを感じられますように。